アイアン階段・手すりはどうやって製作している?

VIRONについて

VIRONはひとりひとりの暮らしを想像した一歩先のものづくり、製造業で培ってきた対応力で、
住まいやオフィスを彩る手すりや階段、オリジナル家具などを提供しています。

今回のブログでは、アイアン階段・手すりが完成するまでの製作工程をご紹介。

どのような金属材料を使い、どのような加工をして、現場でどのようにして設置するのか、
VIRONのアイアン階段・手すり製作の流れを見ていきましょう。

<目次>

・金属材料の種類について
・アイアン階段・手すりの作り方
・アイアン階段・手すりが完成するまでの9の工程
 →1. 見積もり作成
 →2. 採寸
 →3. 図面(製作図)作成
 →4. 切断加工
 →5. 曲げ加工
 →6. ショットブラスト
 →7. 溶接加工
 →8. 塗装
 →9. 現場施工
・まとめ

【金属材料の種類について】

VIRONはアイアン階段・手すりの製作を得意としている会社です。

一概に金属材料といっても、素材によって強度や特性は大きく異なります。
そのため金属加工を行う際には、それぞれの特徴を理解したうえで最適な材料や加工方法を選択していく必要があります。

たとえばアルミニウムやステンレスなども、代表的な金属材料のひとつです。

<アルミニウムの特徴>
金属材料の中でも重量が軽く、アイアンと比較して1/3ほど。軽くて錆びにくい特徴があります。 

<ステンレスの特徴>
アイアンと同程度の強度を持ち、耐食性にも優れています
アイアン、アルミニウムと同様によく使用される金属材料です。

上記に挙げたアルミニウム、ステンレスをはじめ、多くの金属材料がある中で、もっともバランスに優れた
金属材料がアイアンです。

アイアン鉄鉱石から作られた金属材料で、鉄を主成分とした合金のことを指します。
最大の特徴は、熱を加えた際に広範囲にわたって長時間軟化状態を維持する点。
そのため加工がしやすく、さらに比較的安価で強度も備えていることから、VIRONでは階段・手すり製作の材料に
アイアンを用いています。

 

【アイアン階段・手すりの作り方】

では、実際に階段・手すりはどのような手順で製作していくのでしょうか。

依頼をいただくところから階段・手すりの製作、現場の設置まで、一連の流れや工程を簡単にまとめてみました。

・STEP1)見積もり作成

・STEP2)採寸

・STEP3)図面(製作図)作成

・STEP4)切断加工

・STEP5)曲げ加工

・STEP6)ショットブラスト

・STEP7)溶接加工

・STEP8)塗装

・STEP9)現場施工

VIRONの特徴のひとつが、階段・手すりの製作から加工、設置までワンストップ対応が可能な点。
静岡・愛知を中心に100社以上の取引先からご依頼をいただいています。

 

【アイアン階段・手すりが完成するまでの9の工程】

続けて、それぞれの工程の詳細についてご説明していきます。

●STEP1:見積もり作成

パートナー工務店を通じて見積もり依頼をいただきます。
お客様が希望するアイアン階段・手すりのデザインやサイズをもとに鋼材の種類、色、手すりの高さなどを記入した
簡易的な図面を作成したうえで見積もりを作成・提出します。

●STEP2:採寸

見積もり・仮図面の了承を得て、採寸へ。アイアン階段・手すりを製作するために必要な箇所のサイズを測っていきます。

代表的な採寸箇所は以下の通りです。
・階高(かいだか)…階段の高さ(床から2階までの高さ)
・掛け幅(かけはば)…階段の横幅
・開口(かいこう)…階段の設置場所の縦横の長さ

そのほかにも、障害物や下地の有無、段板の数、壁側の設置面が窓になっているかどうか、
通路の有効幅は足りているかなど、階段・手すりの搬入経路現場で設置するところまでイメージして
細部に至るまでサイズを測っていきます。

アイアン階段・手すりは溶接などで火気を使うため、基本的に現場で調整・加工を行うことはありません
採寸によって導き出した数字を頼りに製作を進めていくため非常に重要な作業です。
作業スタッフも採寸した寸法を頼りに階段・手すりを製作するので、現場での採寸は非常に重要な作業です。

●STEP3:図面(製作図)作成

実際の製作工程で必要な本図面(製作図)を作成。アイアン階段・手すりは数十個のパーツによって構成されています。
スタッフが図面を見て製作できるよう一つひとつのパーツの詳細を含めて採寸内容をすべて記載します。

本図面の作成には主に2DCADを使用します。
平面図や断面図などを2次元で表現するこことで、手描きによる製図と同じ要領で図面を作成することができます。
もちろん、ただデータとして数字を入力すればよいわけではありません。
製作・施工を行う際の収まり等も確認するなど、実際に作業を行うスタッフが見ただけで理解・把握できるわかりやすい
図面作成が求められます。

●STEP4:切断加工

切断加工とは、対象物を切断して成形する加工方法のこと。
さまざまな切断加工方法の中から、対象物となる鋼材や目的に応じて選択していきます

アイアン階段・手すりは、メインフレームである桁や手すりのほか、足をのせる段板や手すりを留めるためのベースプレートなど、
細かなものも含めて何十個というパーツの組み合わせによって構成されています。
それらのパーツを作るために1枚の鉄板を切断していく作業になります。

VIRONでは主にレーザー加工機メタルソーを使用しています。

 

<レーザー加工機>
レーザー照射によって対象物を融解・蒸発させて切断を行います。
レーザーの光が細いため、細かくて小さな箇所や曲線をたどるような切断でも安定して加工が可能。
精密加工をしやすいのが特徴です。

ガス切断やプラズマ切断などの方法もありますが、レーザー加工に比べて切断面が粗くなるため、
一度切断した後に断面をキレイにする必要があります。
その点、レーザー加工はスピーディーかつ寸法精度も高いので仕上がりが美しくなります。

 

<メタルソー>
円盤型の鋸刃を切断機にセットし高速回転させることで金属材料を切断します。
丸棒や角棒、パイプなどの鋼材を切断する際の使用に適しており、CADデータをもとに寸法を計算しながらカットしていきます。

●STEP5:曲げ加工

 

切断加工・溶接加工と並び、製品を形へと変えていくうえで欠かせないのが曲げ加工です。
基本的な金属加工方法のひとつで、金属を曲げることで変形させて、さまざまな形状に加工していきます。
金属には一定以上の力を加えて変形させると元の形に戻らない塑性(そせい)と呼ばれる性質があり、
曲げ加工でもその性質を利用しています。

VIRONでは、特にアイアンの階段手すりに曲線を持たせる際に曲げ加工を使用します。
そのほか、アイアン階段の場合はメインフレームの桁を支えるために必要なパーツを接合・固定するために
使用するブラケット(支持具・取り付け金具)の製作・加工に用いています。

曲げ加工には複数の種類があり、VIRONのアイアン階段・手すり製作においては「ベンダー(曲げ加工機)」を使用。
プレスによって金属を加工するため、ほかの曲げ加工と比較して加工スピードが速く、小さな部品や複雑な曲げ加工にも対応可能です。

●STEP6:ショットブラスト

ショットブラストとは、金属の表面に1mmにも満たない無数の鉄球を投射し、凹凸をつける加工技術のことです。
徹や鋼などの粒(ショット)を圧縮した空気で吹きかける(ブラスト)ことからショットブラストと呼ばれています。
ショットブラストをおこなうによって塗装のノリ(密着)が良くなり、結果的に仕上がり時の美しさを長く保つことにもつながります。

また、金属に付着しているミルスケール(鉄の酸化物)を落とすこともショットブラストの目的のひとつです。
ミルスケールが残っている状態で塗装をおこなうと、塗装膜の中(内側)が錆びやすくなってしまいます。
言い換えれば、ショットブラストは仕上がりの美しさを保ちやすくするだけでなく、錆の進行を防ぐ役割も兼ねています。

●STEP7:溶接加工

アイアン階段・手すりを製造する際に不可欠なのが、金属同士を接合する溶接加工です。

溶接加工には複数の種類があり、VIRONでは主に「TIG溶接」「半自動溶接」「レーザー溶接」の3種類を
使用しています。

それぞれの溶接加工についてご説明します。

1) TIG溶接

TIG溶接とは、電気を用いたアーク溶接方法のひとつです。
「Tungsten Inert Gas」の略で、融点の高いタングステンという金属を電極棒に使用し、
別の溶加材(溶接棒)をアーク中で溶融して溶接する方式のことを指します。

TIG溶接の特徴として挙げられるのが、仕上がりの美しさです。
弱い電流で歪みの少ない溶接が可能なことから、半自動溶接では難しい細かな部分を溶接したい時に使用します。

TIG溶接を使って製作する代表的なVIRON製品のひとつが手すりです。
見た目の綺麗さに直結する加工精度が求められ、さらに住宅のオーナー様の目にも止まりやすい製品を
製作する際に使用することが多く、もっとも使用頻度の高い溶接技術となっています。

2)半自動溶接

半自動溶接は、はんだごてと同じように溶融金属を溶かして二つの資材を接合する溶接技術です。
トーチから溶かすためのワイヤーが自動供給されるため、スピーディーに効率よく作業を進められるのが
大きなメリットです。

また、溶接のビートが大きく取れるため、十分な強度も備えています。
ササラ桁をはじめ、常に荷重負担がかかる箇所や厚物溶接が必要な時の溶接技術として活用しています。

また、半自動溶接の中にも複数の技術が存在します。
半自動溶接は便利な反面、スパッタ(金属粒子)が出やすいという特徴も持っています。
そのため、VIRONでは半自動溶接の中でも特に金属の溶け込みに優れ、スパッタの少ないMAG溶接を主に選択
状況に応じて複数の技術を使い分けることで接合部分をきれいに保つなど、仕上がりの見栄えの良さにこだわっています。

3)レーザー溶接
レーザー溶接は名前の通り、レーザービームによって金属を融解し、接合する溶接方法です。
レーザー光を一点に集めて金属に照射することで局部的に溶融させることができます。
そのため、半自動溶接などでは難しいとされる局所部分の溶接や、融点の異なる材料同士の接合が可能です。

また、熱影響が少なくビードが細い点、加工反力が発生しない点などから微細な溶接にも向いています。
VIRONでは、オブジェ製作など細かな溶接が必要な時に活用しています。

<溶接加工はアイアン階段・手すり製作を支えるメイン技術>
アイアン階段・手すりは数十個のパーツを組み合わせてひとつの製品として形になります。
各パーツは溶接によって接合されているため、溶接の精度が低いと耐久性が低下したり、
溶接部分に亀裂が入りやすくなったりするリスクも高くなります。

溶接をおこなうと、多方向に向かってさまざまな箇所に熱が伝わっていきます。
熱が入れば入るほどアイアンは収縮し、熱や力が多方面に分散されることで平らな部分に反りなどのひずみが出やすくなります。
VIRONでは、そうした影響をできるだけ抑えるように考慮しながら火入れの温度や時間などを細かく調整しています。

また、仕上がりの美しさという点では「角出し」も欠かすことができません。
溶接した後に丸く盛り上がった部分(ビード)を専用のヤスリで1箇所ずつ磨き上げていきます。
手作業のため時間も手間もかかりますが、この作業にこだわることが仕上がりの見栄えを大きく左右します。

溶接は、強度面や見栄えを含めて品質に直結する非常に重要な工程であり、
アイアン階段・手すり製作におけるメイン技術ともいえます

●STEP8:塗装

VIRONでは「粉体塗装」「ウレタン塗装」「焼付塗装」を製作する製品によって使い分けています。

1)粉体塗装
有機溶剤や水などの溶媒を用いておらず、樹脂や添加剤などを細かく粉体に砕き、
100%粉末状の塗料を使用する塗装方法
です。塗料に使用される高分子樹脂の特性により優れた塗膜強度、対薬品性、
耐食性、耐候性など塗装によって多くの効果を得ることができます。

塗膜が厚く、一度でしっかりと塗装をすることができるのも特徴です。
焼付時間は温度180℃で30分に設定。その後、自然冷却すれば完成です。

2) ウレタン塗装
ポリウレタンを主成分としたウレタン塗料を使っておこなう塗装方法です。
色のバリエーションが豊富で扱いやすいのが特徴です。
防錆性、耐候性を高めることができ、機能性を向上させます。

3)焼付塗装
樹脂に熱をかけることで硬化させる塗装方法です。美観のための装飾として取り入れると効果的です。

アイアン階段・手すりの製作においては、金属加工後の仕上げとして塗装ブースで塗装を行いますが、
紹介した3つの塗装方法の中でもっともよく使うのが粉体塗装です。
階段・手すりの製作メーカーでありながら自社で塗装ブースと粉体塗装機を保有している点はVIRONの特徴のひとつです。

<塗膜を均一にするコツ>
丁寧な下処理が大切です。シンナーを使って油を落としたり、エアーで汚れを落としたりと、で
きるだけ不純物が付着していない状態にしてから塗装をおこなうと塗料が均一に付着しやすくなります。

<選ぶ塗料によってアイアン階段・手すりの印象も大きく変化>

重厚感と無骨さが魅力のアイアン製品ですが、塗装の色を変えれば、そのイメージは大きく変わります

たとえば、階段の手すりなどにホワイトの塗装を施せば、柔らかな温もりにあふれた空間や雰囲気を演出することができます。
ホワイトのように明るい色味の塗装は、汚れやキズがつかないように丁寧に扱う必要がありますが、
そのぶんお客様にしてみれば愛着が湧きやすくなるかもしれません。

VIRONでは、定番のブラックやホワイトのほかに金塗装やラメ塗装といった特殊塗装にも対応しています。
ご希望の色があれば、それを参考に塗料をつくることも可能です。

●STEP9:施工

トラス階段の施工現場を例にご紹介します。
まずは2F吹き抜けの手すりを、その後に階段のトラスフレームを設置します。
高さの基準を決めたうえで壁側にベースプレートを設置するのが一般的な施工の流れです。
クロスを貼り作業の後に施工するのが一般的なタイミングです。

アイアン階段・手すりは溶接によりパーツを接合していくため、基本的に階段・手すりとして完成された形で住宅に搬入し、
プレートなどをビス留めなどによって固定していきます。

 

【まとめ:アイアン階段・手すりの製作、加工、施工までワントップ対応が可能】

VIRONでは、アイアン階段・手すり製作に関して設計から製作、加工、現場での施工に至るまで
ワンストップで対応
しています。

静岡・愛知を中心に、全国からのご依頼にも対応可能です。
「製作だけお願いしたい」「施工まで一貫してお願いしたい」など、どんなご相談にも応じます。

アイアン階段・手すりの製作相談をはじめ、お気軽にご連絡ください。

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